お役立ちブログ
blog
ニッカポッカとは?なぜダボダボ? 鳶職の定番の作業ウェアについて解説
2024年02月01日
鳶職の作業着の定番であるニッカポッカ。ダボダボの特徴的な形をした作業着用ズボンですが、いつ頃からあのスタイルが定着したのでしょうか? そして、なぜ鳶職の作業着に適しているのでしょうか?
今回の記事では、鳶職に人気のニッカポッカについて詳しく解説します。
ニッカポッカとは?
ニッカポッカとは、工事現場で鳶職の人が着るダボダボの作業用ズボンです。
太ももから膝下まではダボダボで、ふくらはぎのあたりはキュッと締まった独特の形をしていますが、もともとはどこの国のものなのでしょうか?
ニッカポッカの歴史や名前の由来を紹介します。
ニッカポッカの歴史
ニッカポッカの歴史は古く、中世ヨーロッパで少年たちが履いていた膝丈のズボンが元になっていると言われています。
19世紀後半から20世紀前半にかけてオランダ系移民からアメリカに伝わり、やがて野球、自転車、ゴルフ、乗馬、狩猟などのウェアとして流行しました。
日本にも20世紀初頭にニッカポッカが伝わり、戦時中は軍服として、戦後は登山やゴルフウェアとして、広く普及しました。
その後、裾が締まっていて動きやすい作業着であることから、土木工事や建設工事の作業着として定着していったのです。
ニッカポッカの名前の由来
ニッカポッカという名称は、英語の『Knickerbockers(ニッカーボッカーズ)』を由来としています。
ニッカ―ポッカ―とは、もともとはアメリカに渡ったオランダ系移民とその子孫への呼び名で、やがて彼らの履いていた膝丈のダボダボのズボンのこともニッカ―ポッカーズと呼ばれるようになりました。
ニッカポッカは、なぜ鳶職に人気? 鳶職に愛される3つの理由
軍服やスポーツウェアとして普及していったニッカポッカですが、どうして鳶職の作業着として定着していったのでしょうか?
鳶職の作業着としてニッカポッカが定着した理由を解説します。
ダボダボだから動きやすい
建設現場では、歩いたり、立ったり、しゃがんだりと、いろいろな体勢で作業を行います。
ニッカポッカは、太ももからふくらはぎまではダボダボとした独特のシルエットなので、どんな姿勢でも生地の突っ張りを感じにくく足をスムーズに動かせます。
また、裾部分は締まっているので、歩く時の足さばきの邪魔にはなりません。
風を感じられる
鳶職は高所での作業が多い危険な職業ですが、高所作業の大敵と言えば強風でしょう。
ニッカポッカのダボダボとした独特のシルエットは、風の強さや角度を感知するのにも役立ちます。
ニッカポッカのダボついた生地が風を受けてはためく感触だけでも、熟練の鳶職人なら風の方向や強さを判断できるそうです。
けが防止になる
ニッカポッカのダボダボとした膨らんだシルエットは、高所の建設現場でのけが防止にも役立ちます。
建設現場は障害物に身体があたり怪我をしたり、高所でバランスを崩して転落したりなど、怪我をする危険性が高いです。
障害物が身体にあたりそうになる時、ニッカポッカのふくらみが先に障害物に触れるため、足がぶつかる前に危険物の存在を察知できます。
また、ニッカポッカの広い横幅はバランスを取りやすくするという役割を果たしており、高所での作業中に安定した姿勢を保ちやすくなります。
ニッカポッカを履く職人は減ってきている
長年、鳶職人の作業着として愛されてきたニッカポッカですが、近年はニッカポッカ以外の作業着を着る人が増えてきているそうです。
ニッカポッカを履く鳶職人が減少している理由を解説します。
イメージが悪い
ニッカポッカのダボダボとしたシルエットは、不良学生の履くボンタンや暴走族の特攻服などのダボダボとしたシルエットに似ているため、悪い印象を持つ人も少なくありません。
作業員がニッカポッカを着ていると「不良みたい」「柄が悪い」と思われてしまうことから、特に大手の建設会社ではニッカポッカが禁止されていることもあります。
安全性や快適性に問題
ニッカポッカは足を保護したりバランスを取りやすくしたりなど、鳶職人が安全に作業しやすくするのに役立ちますが、場合によっては逆にダボダボとしたデザインが事故につながる可能性もあります。
実際に生地が障害物に引っかかって転倒してしまったり、足がもつれて高所から転落したりなどの事故も起きています。
まとめ
ニッカポッカのダボダボとした独特のシルエットは、鳶職人が高所で安全に作業をするのに役立っていますが、イメージの悪さや安全性の問題から、ニッカポッカ以外の作業着を選ぶ鳶職人も増えてきています。
最近ではニッカポッカに代わる機能的で動きやすい作業ウェアも多く誕生してきており、中には私服として着用できるスタイリッシュなものもあります。
鳶職の伝統を守るニッカポッカを選ぶか、おしゃれで機能的な作業ズボンを選ぶか、自分に合うスタイルを見つけてみてください。